相続の基礎知識:相続税・法定相続人・遺言書の作り方
「相続」は多くの家庭で避けられないテーマです。相続税・法定相続人・遺言書の基礎知識を身につけることで、いざというときのトラブルを防ぎ、大切な財産を次世代に円滑に引き継ぐことができます。2026年の最新情報で相続の基本を解説します。
📌 この記事でわかること
- 相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人数)の計算方法
- 法定相続人の範囲と相続分の割合(配偶者・子・親・兄弟姉妹)
- 遺言書3種類(自筆証書・公正証書・秘密証書)の作り方と効力の違い
- 相続発生後の手続きスケジュール(相続放棄3ヶ月・申告10ヶ月)の全体像
📊 ケーススタディ:70歳・会社経営引退後・総資産8,000万円のYさん家族
配偶者と子2人の家族構成。基礎控除4,800万円を差し引いた課税遺産総額3,200万円に対して相続税が発生。しかし配偶者の税額軽減と毎年110万円の暦年贈与(子2人・10年間)を組み合わせることで、相続税額を大幅に圧縮。さらに公正証書遺言を作成し、不動産の分割方法を明確にすることで相続トラブルも防止しました。
📋 この記事の目次
相続の基本:誰が相続人になるのか
相続が開始(被相続人の死亡)した場合、民法が定める「法定相続人」に財産が引き継がれます。法定相続人には「配偶者」と「血族相続人」がいます。
| 相続人 | 順位 | 備考 |
|---|---|---|
| 配偶者 | 常に相続人 | 法律上の婚姻関係が必要(内縁は除く) |
| 子(代襲相続あり) | 第1順位 | 子が亡くなっている場合は孫が代襲相続 |
| 父母・祖父母 | 第2順位 | 第1順位がいない場合 |
| 兄弟姉妹(代襲相続あり) | 第3順位 | 第1・2順位がいない場合 |
相続人の数は相続税の基礎控除額に影響するため正確に把握することが重要です。
法定相続分とは
遺言書がない場合、法律で定められた「法定相続分」に基づいて財産を分けます。
| 相続人の組み合わせ | 配偶者の相続分 | 血族の相続分 |
|---|---|---|
| 配偶者+子 | 1/2 | 1/2(子の人数で均等分割) |
| 配偶者+父母・祖父母 | 2/3 | 1/3(均等分割) |
| 配偶者+兄弟姉妹 | 3/4 | 1/4(均等分割) |
| 配偶者のみ | 全額 | − |
| 子のみ(配偶者なし) | − | 全額(均等分割) |
相続税の計算方法
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
遺産総額がこれ以下なら相続税はかかりません
基礎控除を超えた課税遺産総額に対して、法定相続分に応じた税率が適用されます。
| 法定相続分に応じた取得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | − |
| 3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
相続税の控除・軽減措置
配偶者の税額軽減
配偶者は「1億6,000万円または法定相続分のいずれか多い方」まで相続税がかかりません。非常に大きな控除です。
小規模宅地等の特例
被相続人の自宅の土地(特定居住用宅地等)は330m²まで評価額が80%減額されます。例えば評価額5,000万円の自宅土地が1,000万円として計算されます。
未成年者控除・障害者控除
- 未成年者控除:(18歳 − 相続開始時の年齢)× 10万円
- 障害者控除:(85歳 − 相続開始時の年齢)× 10万円(特別障害者は20万円)
遺言書の種類と作り方
遺言書は相続人間のトラブルを防ぎ、自分の意思を確実に伝えるための重要な文書です。主に3種類の遺言書があります。
| 種類 | 作成方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 自筆証書遺言 | 全文・日付・署名を自筆で記載 | 無料・手軽・いつでも変更可 | 紛失・偽造リスク・家裁の検認が必要 |
| 公正証書遺言 | 公証役場で公証人が作成 | 最も確実・検認不要・原本が公証役場に保管 | 費用がかかる(数万〜数十万円) |
| 秘密証書遺言 | 内容を秘密にしたまま公証役場で封印 | 内容を秘密にできる | 家裁の検認が必要・実務ではほぼ使われない |
最も確実な方法は公正証書遺言です。不動産・金融資産が多い方、複数の相続人がいる方は公正証書遺言の作成を強く推奨します。
自筆証書遺言の法務局保管制度
2020年7月から「法務局における遺言書の保管等に関する法律」が施行され、自筆証書遺言を法務局(遺言書保管所)に預けることができます。費用は3,900円(手数料)のみで、家裁の検認も不要になります。
相続手続きの流れとスケジュール
- 7日以内:死亡届の提出(市区町村役場)
- 3ヶ月以内:相続放棄・限定承認の申述(家庭裁判所)
- 4ヶ月以内:被相続人の所得税の準確定申告・納税
- 〜10ヶ月以内:相続財産の把握・遺産分割協議・相続税の申告・納税
⚠️ 相続税の申告・納税期限は「被相続人が亡くなった日の翌日から10ヶ月以内」です。この期限を過ぎると延滞税・無申告加算税が課される場合があります。相続財産が基礎控除を超える場合は早めに税理士に相談しましょう。
相続放棄・限定承認
被相続人に多額の借金があった場合などには、「相続放棄」または「限定承認」を選択できます。
- 相続放棄:プラスの財産もマイナスの財産も一切引き継がない。3ヶ月以内に家庭裁判所に申述
- 限定承認:プラスの財産の範囲内でのみ借金を返済する。相続人全員が共同で申述が必要(3ヶ月以内)
- 単純承認:プラス・マイナス含めてすべて引き継ぐ。何もしないと自動的に単純承認になる
相続税対策:生前にできること
- 暦年贈与:毎年110万円(基礎控除内)を子・孫に贈与。ただし2024年以降は相続発生前7年以内の贈与は相続財産に加算
- 相続時精算課税制度の活用:2024年以降は年間110万円の基礎控除が追加され使いやすくなった
- 生命保険の非課税枠の活用:死亡保険金の非課税枠 = 500万円 × 法定相続人の数
- 不動産への変換:現金より不動産の方が相続税評価額が低くなる傾向(路線価方式など)
- 小規模宅地等の特例の適用準備:同居要件・事業継続要件を満たすよう事前に準備
| 相続人の構成 | 配偶者の相続分 | その他の相続分 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 配偶者+子 | 1/2 | 子全員で1/2(均等分割) | 子が複数の場合は均等 |
| 配偶者+直系尊属(父母等) | 2/3 | 直系尊属全員で1/3 | 子がいない場合 |
| 配偶者+兄弟姉妹 | 3/4 | 兄弟姉妹全員で1/4 | 子・親がいない場合 |
| 子のみ(配偶者なし) | なし | 子全員で全て(均等) | 配偶者不存在の場合 |
| 直系尊属のみ(子・配偶者なし) | なし | 直系尊属全員で全て | 子・配偶者不存在 |
よくある質問
Q. 相続税の基礎控除はいくらですか?
A. 相続税の基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。配偶者と子2人が法定相続人の場合:3,000万円+600万円×3人=4,800万円が基礎控除です。遺産総額がこの金額以下なら相続税はかかりません。
Q. 法定相続人の順位と相続割合はどうなっていますか?
A. 配偶者は常に相続人です。血族の順位は①子(第1順位)②父母・祖父母(第2順位)③兄弟姉妹(第3順位)。配偶者と子がいる場合、配偶者1/2・子1/2(子複数なら均等分割)です。
Q. 遺言書がないとどうなりますか?
A. 法定相続分に基づいた遺産分割協議が必要になります。相続人全員の合意が必要で、合意できない場合は家庭裁判所の調停・審判になります。トラブル防止のために遺言書の作成が推奨されます。
Q. 相続放棄はいつまでにすればよいですか?
A. 「相続の開始を知った日から3ヶ月以内」に家庭裁判所に申述する必要があります。期限内に何もしないと「単純承認」とみなされ、借金も引き継ぐことになります。
Q. 配偶者控除(配偶者の税額軽減)とはどのような制度ですか?
A. 配偶者は「1億6,000万円または法定相続分(通常1/2)のいずれか多い方」まで相続税がかかりません。ただし二次相続(配偶者が亡くなった際の相続)まで含めた税負担の最小化を考慮した遺産分割が重要です。
✅ 相続に備える行動計画:今すぐできる3ステップ
- 基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人数)を計算し、相続税が発生するか事前確認する
- 遺言書の有無を家族で話し合い、財産リスト(不動産・預貯金・保険)を一覧化しておく
- 相続が発生した場合の手続き期限(相続放棄3ヶ月・申告10ヶ月)を把握し、税理士への相談タイミングを決める
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⚠️ 免責事項
本記事は情報提供を目的としており、税務・法律上のアドバイスではありません。相続税・相続法は改正される場合があります。具体的な相続対策は税理士・弁護士・司法書士等の専門家へご相談ください。
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