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📅 最終更新:2026年6月8日
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年金繰り上げ・繰り下げ受給の損益分岐点:何歳が得?

老齢年金は原則65歳から受け取れますが、60歳〜75歳の間で受給開始時期を選べます。早く受け取れば月額は減り、遅く受け取れば月額が増えます。自分にとって最も有利な受給開始年齢はいつか、損益分岐点と判断基準を詳しく解説します。

📌 この記事でわかること

  • 年金の繰り上げ受給(最大24%減)と繰り下げ受給(最大84%増)の違い
  • 65歳基準での損益分岐点(繰上げ約6〜8年、繰下げ約11〜12年)の計算
  • 健康状態・家計・配偶者の年金を考慮した最適な受給開始年齢の決め方
  • 繰下げ受給中の生活費を賄う資産活用(NISA・退職金)のシミュレーション

📊 ケーススタディ:60歳・元会社員・年金見込み額月15万円のSさん

65歳受給開始(月15万円)と70歳繰り下げ(月21.3万円)を比較。損益分岐点は約81歳6ヶ月。健康状態に不安を感じていたSさんは、65歳から受給しつつiDeCoの資産を取り崩す計画を立てました。一方、専業主婦の妻(62歳)は健康で長生きの家系のため70歳まで繰り下げを選択。世帯として最適解を導き出しました。

年金受給の仕組み:繰り上げ・繰り下げとは

老齢基礎年金・老齢厚生年金の標準受給開始年齢は65歳です。しかし2022年4月の改正により、受給開始を60歳〜75歳の間で選択できるようになりました。

受給方式開始可能年齢増減率(月あたり)増減の特徴
繰り上げ受給60〜64歳−0.4%/月1ヶ月早めるごとに0.4%減額(恒久)
標準受給65歳±0%基準額
繰り下げ受給66〜75歳+0.7%/月1ヶ月遅らせるごとに0.7%増額(恒久)

※繰り上げ受給は2022年4月以降に60歳になる方(1962年4月2日以降生まれ)から0.4%/月の減額率が適用(改正前は0.5%/月)。

繰り上げ受給の計算と損益分岐点

65歳受給の月額を15万円として計算した場合の繰り上げ受給額と損益分岐点を見てみましょう。

受給開始年齢減額率月額(15万円基準)損益分岐点
60歳−24%114,000円80歳0ヶ月
61歳−19.2%121,200円80歳0ヶ月
62歳−14.4%128,400円80歳0ヶ月
63歳−9.6%135,600円80歳0ヶ月
64歳−4.8%142,800円80歳0ヶ月
65歳±0%150,000円基準

繰り上げ受給は「早く・少なく」もらう選択です。受け取り開始から損益分岐点(約80歳)まで長生きすると、65歳から受給していた方が累計受給額は多くなります。

繰り上げが有利なケース:健康状態に不安がある・60〜65歳に一定の生活費が必要・65歳以降も継続して働く予定がない(在職老齢年金の影響を受けない)場合。

繰り下げ受給の計算と損益分岐点

65歳受給の月額を15万円として計算した場合の繰り下げ受給額と損益分岐点を見てみましょう。

受給開始年齢増額率月額(15万円基準)損益分岐点(65歳受給との比較)
66歳+8.4%162,600円約77歳8ヶ月
67歳+16.8%175,200円約78歳11ヶ月
68歳+25.2%187,800円約80歳2ヶ月
69歳+33.6%200,400円約81歳5ヶ月
70歳+42%213,000円約81歳6ヶ月
75歳+84%276,000円約86歳

繰り下げが有利なケース:健康で長寿が見込まれる・65歳以降も働いて生活費を確保できる・相続対策として年金収入を増やしたい・配偶者に年金収入がなく遺族年金を増やしたい場合。

損益分岐点一覧表

65歳受給(月15万円)を基準に、各受給開始年齢における累計受給額の損益分岐点をまとめます。

受給開始年齢月額(15万円基準)損益分岐点90歳時の累計差額
60歳(繰り上げ)114,000円80歳0ヶ月65歳比 −648万円
65歳(標準)150,000円基準
70歳(繰り下げ)213,000円81歳6ヶ月65歳比 +648万円
75歳(繰り下げ)276,000円86歳65歳比 +864万円

90歳まで生きた場合、70歳まで繰り下げると65歳から受給した場合より約648万円多く受け取れます。一方、60歳から繰り上げると約648万円少なくなります。

税金・社会保険料の影響

繰り下げにより年金額が増えると、手取りベースでの受取額は額面ほど増えない場合があります。

税金の影響

社会保険料の影響

在職老齢年金の仕組み

65歳以降も厚生年金に加入しながら働く場合、「高在老(在職老齢年金)」の制度により年金の一部が支給停止になる場合があります。

項目2022年改正前2022年改正後
支給停止基準額(月収+年金/12)28万円50万円
支給停止の割合超過額の2分の1超過額の2分の1(変更なし)

月収30万円で年金が月10万円の場合、合計40万円で基準額50万円以下のため全額受給できます。基準額の引き上げにより、多くのシニアが在職中でも年金を受け取りやすくなりました。

繰り上げ・繰り下げの判断基準チェックリスト

以下のチェックリストで自分に合った受給方法を判断しましょう。

繰り上げ受給を検討すべき場合

繰り下げ受給を検討すべき場合

配偶者がいる場合の考え方

配偶者がいる場合、個人だけでなく世帯として最適な受給戦略を考える必要があります。

受給開始年齢別の損益分岐点
受給開始 月額(65歳比) 65歳比 損益分岐点年齢
60歳(最大繰上げ)約114,000円(-24%)-24%81歳(65歳受給との比較)
62歳約128,700円(-14.4%)-14.4%約80歳
65歳(標準)約150,000円基準
67歳約175,200円(+16.8%)+16.8%約79歳(65歳受給との比較)
70歳(旧最大繰下げ)約213,000円(+42%)+42%約81歳
75歳(最大繰下げ)約276,000円(+84%)+84%約86歳

よくある質問

Q. 年金の繰り上げ受給と繰り下げ受給はどちらが得ですか?

A. 一概にどちらが得とは言えませんが、長生きするほど繰り下げ受給が有利です。65歳受給を基準にした場合、繰り下げ受給(70歳開始)の損益分岐点は約81歳6ヶ月です。日本人の平均寿命(男性81歳・女性87歳)を考えると、女性や健康な方は繰り下げが有利なケースが多いです。

Q. 繰り上げ受給のデメリットは何ですか?

A. 主なデメリットは①年金額が恒久的に減額される、②障害年金を受け取れなくなる、③寡婦年金を受け取れなくなる、④健康保険の加入期間が長くなる、などがあります。

Q. 繰り下げ受給中に亡くなった場合はどうなりますか?

A. 繰り下げの請求をする前に亡くなった場合、5年以内であれば未受給分の年金を遺族が一時金として受け取れます(時効特例)。ただし長期間繰り下げた場合は受け取れない分も生じる場合があります。

Q. 在職老齢年金とは何ですか?

A. 厚生年金に加入しながら年金を受け取る仕組みです。月収と年金額の合計が50万円(2022年改正後)を超えると年金の一部が支給停止になります。

Q. 年金の繰り下げ受給は税金面でどうなりますか?

A. 繰り下げにより年金額が増えると、所得税・住民税の課税対象額が増え、社会保険料も増加する場合があります。手取りベースでの比較が重要です。

✅ 年金受給開始年齢を決める行動計画:今すぐできる3ステップ

  1. 「ねんきんネット」または「ねんきん定期便」で自分の予想受給額(65歳時点)を確認する
  2. 繰り下げ受給の損益分岐点(65歳比較で約11〜12年)を計算し、健康状態・資産状況と照らし合わせる
  3. 繰り上げ・繰り下げの選択を配偶者の年金・退職金・資産残高も含めて総合的に判断する

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⚠️ 免責事項

本記事は情報提供を目的としており、特定のアドバイスではありません。年金制度・税制は改正される場合があります。重要な判断の際は日本年金機構・ねんきんネットで最新情報を確認し、必要に応じてFP等の専門家へご相談ください。

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